岩城宏之さん逝く

N響を長年指揮され、世界のレベルに育て上げるのに貢献された岩城宏之さんが、癌との闘病の末73歳で亡くなった。指揮者は頭と体をバランス良く使っているためか80歳を過ぎても元気で第一線で活躍している人が多い。岩城さんの演奏は昭和40ー50年代にN響がまだ上野の東京文化会館を使っていた頃、よく聞きに行った。エネルギッシュな指揮で、いつも汗びっしょりで燃え尽きたという演奏であった。その後はヨーロッパで活躍されていたと思うが、先日テレビでお見かけした時は随分痩せられた思っていた矢先であった。癌と20年も闘っておられたとは知らなかった。癌と闘いながらも、昨年はベートーベンの交響曲を全曲を10時間以上掛けて連続演奏、5月24日が最後の指揮となった。ベートーベンを尊敬し、ベートーベンと共に死んでも良いと言っていた岩城さん。
癌と闘わせたものは飽くなき音楽に対する情熱である。顔一杯汗をかいて童顔で笑うと目がなくなる岩城さんは天国でもベートーベン振っているであろう。