死生学

6月になって暑くなった。日ざしが強い。我が家の庭の牡丹、シランもよく咲いている。
キャンパスの木々も一段と緑深く大きくなったようだ。学生食堂のうどんは250円でボリュームがあると、付き添いの川田さんが言っていた。
今日は、NHKで放映されたドキュメント、末期がん患者のホスピスでの72日間を追った夫婦愛のVTRを見て考えをまとめる内容であった。川辺家のホスピス絵日記という本にもなっている。夫が大腸ガンになり5年の闘病の末亡くなるが、最後の72日間を奥さんが絵日記風にまとめて毎日、部屋番号に因んで116NEWSとして書いている。幼児教育をやって来られただけあって絵が判りやすく、どんな文章より現状を把握できる。言葉や文章では、あまりに辛く、夫に伝えられないので、絵によって自分達を客体化してそこに言いたいこと現状を込めているので、ご主人も良く判って妻の愛情を感じたと思う。大変な手術の時も、ヤクザに切られたとコミカルに書いているが、それだけに奥さんの張り裂けんばかりの悲しみ、諦めが伝わってくる。他で亡くなった患者のガランとした部屋、空のベッドの前で祈るシスターの絵も胸を打つ。ご主人もこの絵日記によって癒され、一時は希望も持たれた。好きな花見もして旅立たれた。このNEWSは隣室の患者さんも見たいと言われ、部屋の前に貼ったので、やがて医師、看護師さんも見ることになり、皆さんも癒されたと思う。このご夫婦は結婚して10年で死別、5年で闘病生活、それまでは単身赴任と一緒にいる時間が短かったが、最後の72日間でのホスピスでの生活、亡くなってご主人の魂が奥さんの中に入ってこれからも生き続けるので、救われる。ホスピスの役割は大きい。

我が家の庭に咲いた牡丹